就業規則の作り方について記載事項や失敗しないためのポイントを解説

更新日:2024/3/30

会社で人を雇用している場合、社会保険・労働保険の手続きを行わなければなりません。 小規模な会社だと他の業務と兼ねて人事がおこなっていることもあり、非常に面倒です。 このような場合に検討したいのが、社会保険・労働保険の事務を外部に委託することです。 本記事では、社会保険・労働保険手続きを外部に委託する場合のポイントなどについてお伝えします。

社会保険・労働保険とは

就業規則とはどのようなものかを確認しましょう。

就業規則とは

就業規則とは、事業所における労働条件等に関する事項を定めた規則集のことをいいます。
就業規則に規定されていることは、会社・労働者双方が遵守する必要があります。
就業規則については労働基準法9章89条以下に規定があるほか、労働関係に関する様々な法律で関係してくることがあるので、重要であるといえます。

就業規則が必要な場合

労働基準法89条は常時10人以上の労働者を使用する使用者に対して、一定事項の記載をした就業規則の作成を義務としています。
就業規則はすべての会社に必要なわけではないのですが、常時10人以上の労働者を使用する場合には必要となります。
そして、その違反については、労働基準法120条1号で、30万円以下の罰金刑が規定されているので注意が必要です。
なお、作成した就業規則は、労働基準監督署に届け出をする必要があります。

就業規則を作成しないことによるデメリット

就業規則を作成しないことには次のようなデメリットがあります。

法律違反で行政指導や刑事罰の対象になる


就業規則を作成しないデメリットの一つとして、行政指導や刑事罰の対象となることが挙げられます。
上述したように、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成する義務があります。
上述したように、刑事罰が規定されているほか、労働基準法違反については労働基準監督署が監督官庁として臨検などによって行政指導をすることができます。
常時10人以上の労働者を使用する使用者が就業規則を作成していない場合、労働基準法違反として、行政指導や刑事罰の対象となります。

懲戒処分を行うことができない


就業規則を作成しないデメリットの一つとして、懲戒処分を行えないことが挙げられます。
労働者の企業秩序・服務規律に違反するような行為について、会社が当該労働者に下す制裁のことを、懲戒処分といいます。
例えば、会社のお金を横領して逮捕されたような場合には、会社は当該従業員を懲戒処分として解雇(懲戒解雇)をすることになりますが、懲戒処分については就業規則に規定している必要があります。
就業規則がない場合懲戒処分を行うことができず、就業規則なしに懲戒処分を行った場合、無効と主張されたり、不当解雇であるとして賠償金を払うことになったりしかねません。

賃金控除などができないことがあります。


従業員が遅刻・欠勤をした場合、働いていないわけですからその分賃金控除を行います。
しかし、賃金控除をするには、賃金控除のルールについて就業規則に記載する必要があります。
就業規則なしに行う賃金控除は、控除の根拠がないことになり、賃金控除を行えないことになります。

会社都合の有給休暇を付与できない


会社都合の有給休暇を付与できない、というデメリットがあります。
有給休暇は本来労働者が会社に申し出て取得しますが、シフト制や繁閑期が明確であるような場合に、有給休暇によって業務が立ち行かなくなることが考えられます。
そのため、5日を除いた分について、会社が計画的に有給休暇を付与することができる制度があります。
この制度を利用するためには就業規則に記載していなければならず、就業規則がなければ会社都合の有給休暇を付与できません。

助成金の申請ができない場合がある


助成金の申請ができない場合がある、というデメリットがあります。
助成金の申請をするには一定の要件を満たさなければなりませんが、その中に就業規則を作成して届け出をしていることが要件となる助成金があります。
このような助成金については、就業規則を作成していなければ、申請ができません。

就業規則を作る流れ


就業規則を作る流れを確認しましょう。

就業規則の案を作成する


まず就業規則の案を作成します。
就業規則を作成するには、後述するように労働組合や過半数代表者に意見を聴取し、労働基準監督署に届け出をする際に意見書を添付する必要があります。
そのため、就業規則の案を先に作成します。
弁護士や社会保険労務士などにチェックをしてもらうような場合には、一度この段階で確認してもらうのが良いでしょう。

 過半数労働組合または過半数代表者の意見を聴取する


過半数労働組合または過半数代表者に意見を聴取します。
労働基準法90条は、就業規則の作成にあたり、過半数労働組合または過半数代表者の意見を聴かなければならないとしています。
過半数労働組合とは、労働者の過半数で組織する労働組合のことをいいます。
過半数代表者とは、過半数労働組合がない場合に選出される、労働者過半数を代表する者をいいます。
作成した就業規則案を確認してもらい、意見書にサインをしてもらいます。

就業規則を労働基準監督署へ届け出る


作成した就業規則を労働基準監督署に届け出ます。
過半数労働組合もしくは過半数代表者が作成した意見書と一緒に提出します。

就業規則を会社で周知する


就業規則については、労働基準法106条1項によって、周知をする義務があります。
だれでも見れるところに掲示しておいたり、社内の共有サーバーにアップロードしておいたりする必要があります。
労働者負担雇用主負担雇用保険料率
一般の事業5/10008.5/100013.5/1000
農林水産・清酒製造の事業6/10009.5/100015.5/1000
建設の事業6/100010.5/100016.5/1000

労働時間の把握義務の法改正の経緯

労働時間の把握義務については近時の働き方改革関連法として、制定・改正されたものの一つです。
長時間労働が社会問題化しており、残業時間に上限が定められていても、会社がその労働時間を把握せず、違法な長時間残業をさせているようなケースもあり、規定が絵に描いた餅であることも珍しくありませんでした。
そのために導入されたのが、この労働時間の把握義務です。

36協定を届け出ないとどうなるか

36協定を結んだ旨を届け出ないとどうなるのでしょうか。
労働基準法32条の法定労働時間の定めの例外として、法定労働時間外に働かせるためには、36協定を締結するだけではなく、これを労働基準監督署に届け出る必要があります。
届け出をしなかった場合には、労働基準法32条の例外として時間外労働をさせることはできず、その状態で法定労働時間害に働かせた場合には、労働基準法32条違反となります。
労働基準監督署の指導の対象になるほか、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が法定されています(労働基準法119条1号)。
また労働基準法35条に違反した場合も、労働基準法119条1号で6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が法定されています。
この刑事罰については、会社だけではなく、責任者個人にも科せられることになるので注意しましょう。

労災保険

業務や通勤が原因の怪我・病気に対して給付を行う制度が労災保険です。
怪我や病気の治療に必要な費用を支給する療養給付、仕事を休んだことに対して給付を行う休業給付、怪我や病気で後遺障害が残った場合の障害給付、遺族に対する遺族給付などを受けることができます。

社会保険は狭義の社会保険と労働保険に分類される

社会保険は、健康保険・厚生年金・介護保険の3つを合わせて狭義の社会保険と、雇用保険と労災保険のことを労働保険と呼んで分類することがあります。

記載事項についての解説

就業規則に記載する事項について、特に注意すべき点は次の通りです。

必要的記載事項は全項目記載する


就業規則において必ず記載しなければならない事項のことを必要的記載事項と呼んでいます。

始業時刻・終業時刻
休憩時間・休日・休暇
労働者を2組以上に分けて交代に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
賃金の決定・計算・支払方法
賃金の締め切り及び支払いの時期
昇給に関する事項
退職に関する事項
退職手当を定める場合に、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払い方法、支払い時期に関する事項

これらの事項が記載されていない就業規則を作成しても、労働基準法89条に規定されている就業規則を作成したといえないことになるので、必ず記載します。
モデル就業規則にはこれらを踏まえて多数記載がされています。
例えば、20条は次のような項目が記載されています。
(休日)
第20条 休日は、次のとおりとする。
①土曜日及び日曜日

②国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)

③年末年始(12月  日~1月  日)

④夏季休日(  月  日~  月  日)

⑤その他会社が指定する日

2.業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。


土日祝日を休みとする会社の記載例です。
年末年始・夏季休日については、会社の実情に応じて記載します。
普段は土日祝日ですが、土日祝日に勤務が必要になることに備えて、2項のように休日の振り替えについての記載を置くようにします。

会社の事情に応じて相対的記載事項を記載する


絶対的記載事項のほかに、特定の取り決めをする際には記載しておかなければならない事項のことを相対的記載事項といいます。
主な相対的記載事項には次のものがあります。


臨時の賃金等及び最低賃金額の定めをする場合にはこれに関する事項
労働者に食費・作業用品その他の負担をさせる場合にはこれに関する事項
安全・衛生に関する定めをする場合にはこれに関する事項
職業訓練に関する定めをする場合にはこれに関する事項
災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合にはこれに関する事項
表彰及び制裁の定めをする場合にはその種類及び程度に関する事項
当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合にはこれに関する事項

会社でこれらの定めをする場合には、就業規則に記載するようにしましょう。
安全・衛生についての定め、災害補償や業務外の疾病扶助、従業員に懲戒処分をするための制裁の定めはほとんどの就業規則で記載されるので、モデル就業規則を参考に自社の事情に合わせていた記載を行いましょう。
例えば、モデル就業規則67条は次のように定めています。
(懲戒の種類)
第67条 会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。
①けん責
始末書を提出させて将来を戒める。
②減給
始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。
③出勤停止
始末書を提出させるほか、  日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。
④懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時に解雇する。
この場合において、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支給しない。

上記の制裁に関する定めを具体化したもので、就業規則で定めた懲戒処分によって、従業員の行為に対する制裁を行うことになります。

その他の任意的記載事項


任意的記載事項とは、絶対的記載事項および相対的記載事項以外の事項の記載のことをいいます。
就業規則は会社と従業員の関係の基本的な事項を記載するものになるので、就業規則の中で必要的記載事項・相対的記載事項以外でも、基本的なルールとして記載すべきといえるものについては、就業規則に記載します。
主な任意的記載事項としては、次のようなものがあります。

就業規則の基本精神
応募・採用に関する事項
副業・兼業・競業に関する事項

モデル就業規則でも記載があるので、自社の事情に応じて記載をしましょう。
例えば、モデル就業規則70条は次のような規定を置いています。

第70条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2.会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。
①労務提供上の支障がある場合
②企業秘密が漏洩する場合
③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④競業により、企業の利益を害する場合

この規定は、副業・兼業について会社への届出によって認めつつ、秘密漏洩や競業に関するものについては一定の場合には禁止・制限をするものです。

就業規則に記載する事項

では、就業規則にはどのような事項を記載するのでしょうか。
就業規則に記載すべき事項については、絶対的必要記載事項・相対的必要記載事項・任意的必要記載事項の3つの種類があります。

絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項とは、就業規則に必ず記載しなければならない事項のことをいいます。

労働時間・休日・休暇等


労働基準法89条1号は「始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項」と定めています。
労働時間・休日・休暇等については、労働に関する基本的なルールなので、就業規則に必ず定める必要があります。
「二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項」というのはシフト制のことを指します。

賃金(給与)等について


労働基準法89条2号は「賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」と定めています。
賃金(給与)については、計算や支払い方法などの細かいルールについても必ず定める必要があります。

退職について


労働基準法89条3号は「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」と規定しています。
退職や解雇事由については、就業規則で必ず定める必要があります。

相対的必要記載事項


相対的必要記載事項とは、ルールを設ける場合には、就業規則に定める必要がある事項のことをいいます。

退職金について


労働基準蒲黄89条3号の2は「三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」と規定しています。
退職金・退職手当を支給する場合には、就業規則に支給のルールを定める必要があります。

賞与や最低賃金


労働基準法89条4号は「臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項」と規定しています。
賞与や最低賃金についてのルールについては、就業規則に定める必要があります。

労働者に負担をさせる場合


労働基準法89条5号は「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項」と規定しています。
就業をするにあたって、食費や作業用品などの負担をさせる場合には、就業規則に定める必要があります。

安全・衛生に関する定めをする場合


労働基準法89条6号は「六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項」と規定しています。
安全・衛生に関する定めをする場合は、就業規則に定める必要があります。

職業訓練に関する定めをする場合


労働基準法89条7号は「職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項」と規定しています。
職業訓練に関する定めをする場合は、就業規則に定める必要があります。

災害補償・業務外の疾病扶助に関する定めをする場合


労働基準法89条8号は「災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項」と規定しています。
災害があった場合や、業務外で怪我や病気になったとき会社が補償をする場合、就業規則に定める必要があります。

表彰や懲戒についての定めをする場合


労働基準法89条9号は「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」と規定しています。
会社が表彰をする場合や、労働者に懲戒処分をする場合、その種類や程度を就業規則に定める必要があります。

すべての労働者に適用される定めをする場合


労働基準法89条10号は「前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」と規定しています。
すべての労働者に適用される定めをする場合には就業規則に定める必要があります。

任意的記載事項

任意的記載事項とは、上記以外の記載事項を指します。
企業理念や社訓のような、それ自体はルールではないものもあれば、服務規程・採用・異動・人事に関する規定などのルールとなるものもあります。

社会保険労務士に委託する場合の費用の相場

社会保険労務士に社会保険・労働保険に関する事務を委託する場合にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
社会保険・労働保険に関する事務を委託するにあたり、セットになることが多い給与計算に関する事務を合わせると、社員数に応じて次のような費用が相場となります。
                       
 社員数  社会保険労務士の報酬(月額) 
 4人以下  15,000円~ 
 5人~9人  20,000円~ 
 10人~29人  30,000円~ 
 30人~49人  40,000円~ 

社会保険労務士によってサービスの範囲が広い場合には報酬も高くなることがあるので、どのようなサービスを受けられてその費用なのかを確認するようにしましょう。

36協定届の提出方法2郵送する

36協定届の提出方法として郵送で送る方法が挙げられます。
この場合も2部作成して、返信用封筒を同封すると、控えを返送してもらうことができます。
郵送で提出する場合には、労働基準監督署への郵送にかかる時間、事務処理にかかる時間を見込んでおく必要があり、タイムラグがあって受理されるまでに時間外労働・休日労働をさせた場合には、労働基準法36条の例外要件を満たしているとはいえず、労働基準法32条・35条違反となるので注意が必要です。

賃金の該当種類に注意


労働保険の年度更新における注意点の一つは賃金の該当種類についてです。
給与・賃金として支給されるものには、各種の手当などと合わせて様々な種類のものがあります。
そして、給与として支払われる金銭の中には、労働保険において支給された給与・賃金には含まないものがあるので注意が必要です。
給与・賞与・通勤手当のようなものについては、賃金として計算に含まれます。

しかし、役員報酬・傷病手当金・災害見舞金・解雇予告手当などは、賃金として計算に含みません。
また、労働者が立て替えていた交通費・出張旅費・宿泊費の支給も、賃金には含まれません。
支給した額をそのまま申告してしまい、これらを給与に含めてしまうと、保険料を多く支払ってしまうことになるので、注意が必要です。

65歳以上の人を雇用している場合


65歳以上の人を雇用している場合も注意が必要です。
2017年までは65歳以上の人は雇用保険の適用対象ではありませんでした。
そして、2017年からは65歳以上も雇用保険の適用対象となっていましたが、2020年3月31日までは雇用保険料は免除されていました。
2020年4月1日からは、65歳以上の高齢者も雇用保険に加入し、雇用保険料の支払いが必要となります。
最新の情報を確認して手続きを行うようにしてください。

36協定届の提出方法3電子申請する

36協定について電子申請することができます。
電子申請であれば、24時間365日可能で、労働基準監督署に赴く手間や、郵送での返信用封筒の用意や切手代の負担などがありません。
36協定は有効期限があり更新が必要となるので、電子申請が非常に便利です。具体的な方法を後述します。

36協定違反にもペナルティがある

36協定に関する違反をした場合にもペナルティがあります。
上述の行政指導はもちろん、労働基準法119条1号で労働基準法36条6項に違反した場合の刑事罰も同様に定められています。
労働時間に関する会社名で報道されているものの多くが、36協定に違反しての長時間残業なので、やはり違反をしないように細心の注意が必要であるといえます。

就業規則を作るのに失敗しないためのポイント

就業規則を作るのに失敗しないためのポイントを知っておきましょう。

業種ごとの注意点

業種ごとに就業規則を作成する場合の注意点を確認しましょう。

飲食業


飲食業では、正社員だけではなく、アルバイト・パートなどたくさんの種類の雇用形態のスタッフがいることになります。
これらアルバイト・パートも労働者として就業規則が適用される対象となるので、就業規則を作成する際には、これらアルバイト・パートなどにも配慮する必要があります。
特に就業時間・シフト制などのルールについて慎重に記載しましょう。

製造業・建設業


製造業や建設業は、重い荷物を運んだり、大きな機械を利用したりすることから、労働災害が発生しやすい業種であるといえます。
そのため、労災のリスクに配慮した就業規則の作成が求められます。

運送業


自動車に乗る機会が多い運送業では、交通違反・事故のリスクが多いといえます。
そのため、懲戒処分について自動車を運転することを念頭にいれた規定の仕方が必要であるといえます。

社会保険労務士に委託をするタイミング

社会保険労務士に社会保険・労働保険の業務を委託することを検討すべきタイミングにはどのようなものがあるのでしょうか。

人員を大量に増やそうと考えている


事業が拡大傾向にあり、人員を大量に増やそうと考えている場合は、社会保険労務士への委託を検討するタイミングとして適しています。
人員を大量に増やすということは、それだけ人事担当者の負担が増えます。
人事担当者を専属で採用するのか、社会保険労務士に委託をするのか、の検討をするのが良いでしょう。

人事担当者が退職するなど


人事を担当している人が退職したり、産休・育休に入る、異動で人事担当から離れたりするような場合には、社会保険労務士への委託を検討するタイミングとして適しています。
人事を担当している人が退職したり、産休・育休に入ったりする場合や異動で人事担当から離れる場合は、新たに人事の担当者を採用するのか、産休・育休期間中の代替人員を見つけるのか、社会保険労務士に委託をするのか、を検討するのが良いでしょう。

労務関連システムを一新する場合


労務関連のシステムを一新する場合も、社労士への委託を検討しましょう。
従来システムを利用していなかったが、システムを入れるような場合や、別のシステムに移行するような場合、新たに導入するシステムの利用で社会保険労務士への業務委託が効率化できる場合があるからです。

ひな形を使って良いのか

インターネットで検索をすれば容易に就業規則のひな方を入手することができます。
では、このひな形を使って就業規則を作成しても良いのでしょうか。
確かに、これらを利用すれば容易に作成でき、かつ絶対的必要記載事項についても記載を失念することは無いといえるでしょう。
しかし、上述したように、就業規則には業種ごとに作成にあたっての注意点があり、これらをひな形に適切に落とし込む必要があります。
また、会社ごとにひな形に記載されている文言を変更する必要がありますが、その内容が労働基準法等の法律に違反しないようにする必要があります。
ひな形を使う場合には、自社の事情にあっているか、法律に違反していないかなど、慎重に精査しましょう。

専門家への相談の要否

就業規則の作成について、専門家に相談する必要はあるのでしょうか。
就業規則は基本的な事項であり、慎重な作成が求められます。
作成にあたっては労働関係の法律についての知識が必要であり、その内容は非常に難解です。
そのため、できれば専門家に相談しておくのが望ましいといえるでしょう。

まとめ

本記事では、就業規則の作り方について中心にお伝えしました。
就業規則に記載しなければならない事項は労働基準法に規定されており、法律に沿った記載が不可欠です。
就業規則についてのひな形はインターネットで探せばダウンロードが出来ますが、かならずしもそれぞれの会社の実情にあっているとは限りません。
就業規則を作る時には専門家に相談することをお勧めします。

電子申請を行うメリット

労働保険の年度更新について、インターネットで申請を行う電子申請には、次のようなメリットがあります。


各種機関に直接出向く必要がない
自宅やオフィスからいつでも手続きが可能


まず、上述したように、申告書を紙で提出する場合、直接労働基準監督署などの機関に出向いて手続きをする必要があります。
電子申請の場合、直接出向く必要はありません。
また、申告書を紙で提出する場合、各種機関の窓口が稼働している時間に出向く必要があります。
しかし、電子申請であれば、自宅やオフィスから24時間いつでも行なえます。
移動時間や費用を節約することが可能といえます。

電子申請に必要なもの

労働保険の年度更新の電子申請に必要なものには次の3つがあります。


パソコン
電子証明書
e-Gov(電子政府の総合窓口)のアカウントとアプリケーションのインストール


まず、電子申請はパソコンで使用するアプリが必要となるので、パソコンが必要です。
インターネットが利用できてもスマートフォン・タブレットでは電子申請はできませんので注意が必要です。
次に、労働保険の年度更新には電子証明書が必要です。
電子証明書とは、電子申請をする際に送信する電子データが原本であること・改ざんされていないことを証明するためにつけられるものです。
電子証明書は認証局で作成しますが、e-Govを利用するにあたって動作確認がとれている電子証明書の認証局は、次のe-Govのホームページに公開されています。

参考:
認証局のご案内|e-Gov(URL:https://shinsei.e-gov.go.jp/contents/preparation/certificate/certification-authority.html

さらに、e-Govのアカウントを取得した上で、パソコンにアプリケーションをインストールする必要があります。
アプリケーションはWindows・Macどちらにも対応しています。

電子申請の手続

労働保険の年度更新を電子申請で行う場合の手続きは次の通りです。

賃金集計表を作成する


紙で行う場合と同様に賃金集計表を作成します。

e-Gov電子申請手続検索を利用して「労働保険年度更新申告」を検索する


e-Govの電子申請はとてもたくさんの種類があります。
労働保険の年度更新の手続きのページには、手続検索から「労働保険年度更新申告」と検索すると遷移することができます。

申請書入力画面に必要事項を入力


労働保険年度更新申告の申請書入力画面に必要事項を入力します。
入力したデータと電子証明書を保管します。

保管したデータを送信


保管したデータと電子証明書の送信を行います。

保険料を納付する


送信が終わると保険料の納付に必要な情報が表示されるので、保険料の納付を行います。

市販の電子申請ソフトや労務管理システムで電子申請を行うことも可能

e-Govは外部連携APIを公開しているので、これを使って申請ができる電子申請ソフトや労務管理システムが市販されています。
これらを用いて労働保険の年度更新をすることも可能です。

まとめ

このページでは労働保険の年度更新についてお伝えしました。
労働者を雇用していると手続きが必要となる労働保険は年度更新が必要で、適切に行わなければペナルティを課せられることもあります。
適切に行えるよう不明点がある場合には専門家に相談するようにしましょう。
助成金に関するお問い合わせ・無料相談 03-6831-3778

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